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「放射線とのつきあい方」

つくば市内某所にカルチャースクールがあります。
よくある奥様向け、子供向け、OL向けみたいな講座のチラシがたくさんあるのを、仕事先に行く前の時間つぶしに眺めてたら、「放射線とのつきあい方」という講座があるのを見つけました。サブタイトルは「~正しく怖がることが大切~」。

講師は放射線安全科学評論家・高エネルギー加速器研究機構名誉教授の方で、帰ってからお名前を検索すると、2011年に都内某区で行われたシンポジウムの話題が出てきました。

(区議会員のホームページから:以下概略)
同氏は放射線の危険性については語らず、「自然にも医療にも放射線がある」「人生のリスクの1つ」「ストレスに感じるほうが身体に悪い」と述べ、保護者から不安の声があがった。区議会では、同氏が、原子力の利用を進めるNPO団体の理事長であることを確認した。このNPO団体は前副理事長が東京電力(株)原子力本部長、現副理事長は元原子力委員長がつとめている。
同氏は311直後に「国の暫定基準を年間1ミリシーベルトの国際基準から4ミリシーベルトに上げるべき」と緊急声明を発表、その10日後には「汚染牛乳は捨てずに、バターやチーズなどに使用すべき」と訴えていた。(概略終わり)

上記区議のホームページに載っていた「NPO団体」も検索してみたら、講師の方のコラムがありました。2010年から始まっています。放射化物を汚染物と呼ぶのはいかがなものか、強力な放射線源である太陽も汚染物をつくりだす悪しき存在というのだろうか? といった、ご自分の専門分野を心から愛する思いが伝わってきます。

だれも太陽を責めたりしてません。
「専門家」が一般向けに話をするときのこうした飛躍や「平行線」はなぜ生じるのか?

「太陽も~」というところは311以前に書かれたものですが、311以降は原発事故に対する行政のバラバラな対応を非難したりしていて、この方はこの方なりに考えているのだということはわかる。
だれも特別悪者ではなく、その人の立場でできることをしているだけなのだ。と思う。つい「原発ムラの住人=金儲けのため」みたいな目で見てしまいがちですけども。

ここで話は変わりますが、安いタブレットを買ったので(wifi専用機なのでコンビニ近くとかでしかネットにつなげないけど)青空文庫とかキンドルの無料本をダウンロードして出先で読むのが習慣になりました。それで読んだのが永井隆。「長崎の鐘」「ロザリオの鎖」「この子を残して」が無料で読めます。全部おすすめです。

永井氏は長崎で被爆した大学教授で放射線医師で敬虔なキリスト教徒です。
研究中に被爆し続けていたため原爆以前から白血病にかかっていました。
大学病院で勤務中に原爆が落ち、友人も恩師も教え子も妻も無残に死んでしまいました。氏は周囲の人たちの症状や死に方を見て、早い段階から「これは原子爆弾か」と気づき、その瞬間から自身の症状と周囲の様子を冷静に観察し始めます。
絶望のさなかに突如芽を吹いた、すさまじい好奇心というかプロ根性というか、喜びさえ感じられるこのあたりの展開には目を見張ります。
その後も焼け跡の小屋で子どもとともに暮らしつつ、じきに蟻やみみずや雑草が出てきたから残留放射能もたいしたことなし、これからは平和利用の時代だ、と科学者としての思いを新たにします。

平和への思いは「この子を残して」に凝縮されています。戦争の原因は日本に資源がなかったせい。だからといって戦争はいけない。資源がないなら知恵と工夫が必要じゃないか。それは地獄の中でみつけたたった1つの、本当にたった1つの希望の光だった。
原子の新エネルギーへの期待がどのようにして生まれ、どれほど強く人々を励ましたか、やっとわかった気がします。今の私が、この当時の永井博士の思いを否定することはできません。前出のカルチャースクール講師・名誉教授もそれを受け継いでいる。エキスポセンターの原子力コーナー(過去ログ参照)もそれを受け継いでいる。「ムラ」みんなそれを受け継いでいる。
と考えれば、311後、なぜあれほどの惨事を見ながらも原発再稼働などと言えるのだろうか?という疑問が少しは解ける。
あれよりもっとひどい惨事の中から出発したのだから、今こそもっとがんばらなくちゃと思ったんだとしたら。
あのいらいらする平行線問答の落としどころが見つかる気がする。

永井氏の活動も、平和への思いの強さも心から尊敬します。
もし永井氏が生きておられたら、311後の展開をどう語っただろうか?
案外スッパリと気持ちを切り替えられたのではないだろうかと思ったりする。
原子力をこのような管理しかできないのなら使ってはいかん。廃炉にすべきじゃないか、と。
それともやっぱり、きちんと管理すればこれほど巨大なエネルギーはないのだから、もっとがんばれと叱咤されただろうか。

前述のカルチャースクール講座は2012年から始まったようです。
それはまあいいんですが、何が気になるってこの講座受講料です。
全2回で7,136円!入会金4,320円!何これ、なんでこんなに高いの??
(↑これを言いたくて長文を費やした)
「もちもの」には「筆記用具、『放射線等に関する副読本』」と書いてあります。この副読本は文科省作成の、小学校児童用のものだそうです。11、456円払って小学生向けの内容を学ぶのか。誰がこれを受講するのだろう。(コ)
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